クランベリー
きっとあの時、ヒロトも何か考えがあったはず。

口にできないヒロトの想い。


どんな結果であろうと、受け止めたかった。

私がもっと広く優しい心を持っていたなら…。



優しくなりたい。

強くなりたい。

ずっとヒロトの側で笑っていたい。



私は携帯電話を手にした。
そして、ヒロトの番号を検索し、発信を押した。

もう逃げない…!



…『おかけになった電話番号は現在使われておりません。もう一度……』


え…?!


「…嘘でしょ…?そんな…」


ヒロトは携帯の番号かえたんだ。

そうやって、私との約束も、もうなかったことにって訳?


「こんな終わり方って…。もうこんなのいらないよっ!!」

バンッ

私の投げた携帯は強く壁にあたって落ちた。


こらえ切れず、私は一人部屋で泣いた。

泣きたいだけ泣いた。

それでも、現実は慰めてもくれない。


「ヒロト…会いたいよ…。」



〜♪〜♪〜♪…

着信音。

壁にぶつかって開いたままの携帯電話が私を呼んでいる。
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