クランベリー
「そしたら、一弥はこう言ったんだ。『夜の仕事を辞めること。それと、俺がオッケー出すまでは優と会うな。』ってな。きっと一弥は、俺の優への気持ちが本物か試してたんだと思うんだ。」


私は、一弥が言いそうなことだと思い心の中で少し笑った。

そして、目からは涙が溢れそうだった。

動けずにいたのは、私だけじゃなかったんだ…。

ヒロトも私と同じで、一人もがいてたんだ。

そして、きっと一弥も…。

「私…ヒロトと喧嘩した夜には既に彼女と別れてるなんて何も知らなくて…ごめんね…。
自分でヒロトのこと待つって決めたのに、辛くなって一度待つことを止めたの。でも、やっぱりヒロトを忘れることなんてできなくて…。今度は辛くてもいいからヒロトのこと待っていたいって思った…。」


ヒロトは私を引き寄せ、抱きしめた。

ヒロトの腕の中に包まれた私は、今が現実だということが信じられないでいた。


「優…愛してる。俺と付き合ってくれないか?」


私は大きくうなづいた。
言葉にならず、ただただ泣いていた。
幸せ過ぎて…。


ヒロトはポケットから何やら取り出して、私の左手の薬指にはめた。


指輪……!?
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