YOU&I
「んー確か俺のクラスの女子が騒いでたような」
涼喜は腕を組み、眉間に皺を寄せてそう言った。
―あぁ、そういう系ね。
「なるほど」
「なんでもM中はカッコイイ人が多いとかって」
「多いかもね。啓ちゃんとか」
「啓ちゃんって啓也?」
「そうそう」
すっかり涼喜とのお喋りに夢中になっていたあたし。
次に涼喜が何か言おうと口を開きかけたとき。
「由衣!」
何時の間にかあたしの机の前に立っていた啓ちゃんに声をかけられ、少し焦った。
「あ、ごめん、今行くから」
そう言い、あたしはぱっぱと片付け、鞄を持って立ちあがった。
「由衣ちゃん」
啓ちゃんに続いて行こうとしたとき、後ろから涼喜に話しかけられて振り向くと、涼喜は可愛い笑顔でニッコリ笑っていた。
「今日、メールするね」
「…うん、わかった」
そう答えると涼喜は満足そうに笑って手を振った。
あたしも笑顔で手を振り返し、早足で教室を出た。
それからというもの、あたしは涼喜に気に入られたのか、授業中や休み時間もしょっちゅう話しかけられた。
あたしもそれは嫌じゃなかったし、今まであたしの周りにはいなかった自由奔放な彼との会話は楽しくて、よくお喋りをしていた。