YOU&I
―それは、突然の事だった。
「由衣!」
休み時間、あたしは大分馴染んだクラスメイトとお喋りをしていたときだった。
あーちゃんが勢いよく教室に飛び込んでくると、あたしを見つけるなりそう叫びに近い大声であたしを呼んだ。
「え?え?なしたの?」
「啓也が暴れてる」
あーちゃんはそう一言言うと、あたしの腕を引いて来るよう促した。
あたしはクラスメイトにごめんね、と謝ってあーちゃんに続く。
例えば恭介が暴れようと、あたし達はここまで騒がないだろう。
でも暴れているのが啓也と聞けば、普段冷静なあーちゃんだって血相を抱えるし、あたしだって走って駆け付ける。
それくらい啓也は人に優しい奴で、暴力を振ってるところは見た事ないし、喧嘩をするときは必ずできるだけ人目につかない場所を選ぶ。
啓也は、そうゆう奴。
あーちゃんに引かれて着いたのは、中庭のような、体育館裏にある小さいスペース。
ここは人気が少ないところだけど、結構人だかりができていた。
あーちゃんより小さいあたしは、人だかりの中まで見えなくて。
「‥あーちゃん、ほんとに啓也?」
「うん。多分、由衣が原因だと思う」
「え?」
あーちゃんのハスキーボイスが妙な迫力を醸し出して、あたしに振り返ってそう言った。
「見ればわかるよ」
困惑するあたしの顔を見て小さい溜息をつくと、あーちゃんはあたしの背中をそっと押し、人だかりの中に入れられた。
あたしが転びそうになりながら転がり込むと、野次馬は道を開けてくれて、中心にいた2人の人物が見えた。
「…!」