YOU&I




~2004年春 中学2年生~


「あれー、ねぇ由衣、啓也今日休み?」

学校が大好きな啓也は毎日来てたのに、この日は休みだった。
あたしはあーちゃんからそうきかれたとき、とっさに昨日の出来事が頭に浮かんだ。
啓ちゃんに最初に告白をされたのは中1の冬。
そして2回目が、昨日の帰りに家まで送ってもらったときだった。

ひょんな会話から、啓ちゃんがいきなり言い出した。


『あーやっぱ俺、由衣のそういうところ好きだなぁ♪』

最初の告白を断った手前、そういう事を言われると、とても気まずくなる。
でもそれはあたしだけのようで、啓ちゃんはいつでも直球だった。

『…啓ちゃん』

『んー?』

こんな質問は、自惚れるわけではないけれど、もしかしたらとても酷い質問になるかもしれない。
あたしはそれを覚悟で口を開いた。

『好きな子、できた?』

『え?まさか!俺はやっぱ、由衣が好きだよ』

何かが吹っ切れたように啓ちゃんは穏やかな笑みでそう言った。
あたしが予感した通り、酷い質問をしてしまったあたし。
それでも優しい啓ちゃんは怒りも悲しみもせず、穏やかにそう言うから、あたしは何も言えなくなった。

並んで歩いていた足を止め、啓ちゃんはちょっと照れ臭そうに真面目な顔をして言った。

『俺マジで由衣が好きだから。マジでとか言っても俺らまだガキだしわかってねぇのかもしんないけど、でもガキの俺にとって由衣は何より大切』

『…啓ちゃん、でもあたし、』

『俺たぶんこれから何回も告ると思うけどさ!由衣は気にせずフッてくれていーんだよ?お情けは俺もやだし』

『啓ちゃん、あたしは啓ちゃんに何回告られても…啓ちゃんはやっぱり友達、だよ…』

『…ん、わかった。わかったから、そんな辛そうな顔すんなって!‥って、させてんのは俺か。ごめんな、由衣』

あたしには勿体無いほど大きくて優しい啓ちゃんの気持ち。
あたしはどうしたらいいんだろう?
いろいろな気持ちがあたしの中で交差する―



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