YOU&I



「待って、由衣」

「え?」

「先に‥俺に話させて」

きっとあたし達の頭の中には同じ光景が浮かんでるんじゃないかと思う。
それこそあーちゃんの言う"いい機会"の結論だと思うから。
そしてあたしが話そうとしていることも、啓ちゃんはきっと悟っている。
それでも先に話しておきたいというなら、それを拒むことはあたしにはできない。

「…いいよ」

あたしがそう言うと、啓ちゃんはあたしの方を向いて座り直し、改まった雰囲気を醸し出した。

「由衣」

「はい」

「俺は、由衣の事が好きだ」

「…」

正面を切って、目も逸らさずに、啓ちゃんはそう言い切った。
その度胸と根性に、あたしは今までたくさん苦しめられてきたけれど、それ以上にどれほど救われてきたのだろうか。

「お前はさっき、鈴島の事は関係ないって言ったけど、きっと関係あると思うんだ」

「‥それは、」

「俺、初めて嫉妬したよ。‥アイツに」

「…」

「中1ん頃から由衣だって、何度か恋してんじゃん?」

「…うん」

「水崎先輩とか、聡とかアキラとか‥あと大紀とか」

中学時代、一時の幼い恋心を抱いた人達の名前が、啓ちゃんの口から上げられる。
なんだか今となっては恋なのかもわからないような、そんな思い出。



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