YOU&I


涼喜の言葉が、妙に木霊する。
中1から3年間あたしだけにいつも尽くしてくれた啓ちゃんが、タラシなんて。
中学の頃だったら、あたし達の関係を大体の人は把握していたから誰も文句はなかったと思う。
それこそあーちゃんみたいに。
でも、高校は半分以上の人が、入学してからの啓ちゃんしか知らないわけで。
つまりあたしと啓ちゃんのあの微妙な関係も知らないわけで。
涼喜達の立場で考えれば、そういう風に映っても仕方がないのかもしれない。

それでも、啓ちゃんのあの大きくて優しい気持ちを踏み躙られたみたいで、すごく頭にきた。

「…涼喜、勝手なこと言わないでよ」

「あー、悪い」

「うん」

大体、あの子は一体誰なんだろう。
知らない子だったから、違う中学の出身だと思う。
啓ちゃんの事が好きなのかな。
…でもそれって、どうせ顔だけでしょ?
だって知り合ってまだ1ヶ月も経ってないわけだし、啓ちゃんと仲良かったわけでもない。
現に啓ちゃんは、昨日まで彼女を知らなかったんだから。

「お前も複雑だね」

「…え、」

「俺、由衣ちゃんと柏木付き合ってると思ってたし」

「…」

「こうなる前に自分のモンにしないから、こんなめに遭うんだよ」



なにそれ…?
あたし達がこんな風になった原因は何?
涼喜が、涼喜のせいであたし達はこんな風になったのに…

涼喜のせいで―




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