YOU&I
「…どうして?」
「え?」
「どうしてそんな事が言えるの?」
「どういう意味?」
あたしはもう2度と啓ちゃんを傷つけたくなかった。
それなのに、涼喜が啓ちゃんと喧嘩なんてするから…あたしなんかに近づいてきたから、あたしは結果また啓ちゃんを傷つけてしまった。
元はといえば、涼喜がいなければ…
「涼喜が悪いんじゃん!」
「は?何で俺?」
「涼喜があたし達の間に入ってきたから‥」
違う。
ただの八つ当たりでしかない。
「涼喜がいなければ…」
涼喜がいなければ、啓ちゃんはそばにいてくれた。
それは間違いないと思う。
でもそうなれば逆に、あたし達はどうなっていただろう。
啓ちゃんの気持ちに応えれないあたしは、罪の意識からただ自分が楽になりたいがために啓ちゃんに遠慮しながら生きていく?
「全部涼喜のせいなんだから!!」
気づけばあたし達の周りの席の子は、何事かとあたしを見ていた。
その中にはもちろんあーちゃんもいて。
でも啓ちゃんや恭介は席が遠いから気づいていないみたいだった。
それを確認して、あたしは走って教室を出た。