YOU&I
それからあたしはひたすら考えた。
啓ちゃんの隣にいた子の事、涼喜の事、自分の気持ち。
しばらくすると雨が降り出して、野ざらしの階段は冷たかった。
一番上の踊り場には屋根があったから、あたしはその下に小さく縮こまった。
雨はどんどん強くなって、気温も一気に下がってあたしの体が小さく震えだした。
でもいまは誰にも会いたくなくて、でもここは寒くて、まるで捨て猫のように行き場のないちょっとした孤独を味わっている気分だった。
遠くからチャイムが聞こえる。
もう5回くらい聞いたと思う。
あたしが飛び出した授業は2時間目だったから…ちょうど昼休みが始まるチャイムだ。
不意に、あたしが縮こまっている踊り場の目の前にあるドアが開いた。
驚いて思わず立ち上がると、見慣れた金髪が目に付いた。
「由衣ちゃん?」
「…涼喜」
「柏木にここ教えてもらった」
「…」
何を考えてるんだろう、啓ちゃん‥。
「由衣ちゃん、3時間目も戻ってこないからさ、4時間目柏木とサボったの。ウケる2人でしょ」
笑いながら言う涼喜。
「んで由衣ちゃん達の話全部聞いて、俺、由衣ちゃんと話さなきゃって思ってここ聞いた」
「‥そっか」
それだけ言って、あたしはまた元いた場所にしゃがんだ。
すると涼喜も、あたしの隣に座った。