YOU&I


穏やかに笑う涼喜。
それと正反対に、初めて抱きしめられたことですでにカチコチのあたし。
そっと離されて、あたしは鼓動の早くなった自分の胸元に手をやる。

「…由衣ちゃん、顔真っ赤だけどだいじょうぶ?」

おもしろそうに笑ってからかう涼喜に、あたしは顔を背ける。


さっき涼喜と喧嘩したときは、こうなったのは全部涼喜のせいだって一瞬本気で思った。
でも本当は違ったこともわかった。
むしろ、涼喜には感謝しなければならないんだ。
よくわからないけれどあたしのおかげで踏ん切りがついたという涼喜。
同じようにあたしも、涼喜に出会ったことを切欠に踏ん切りをつけるまで至る事ができた。

「涼喜」

「んー?」

「あの、あたしからも言いたいの」

「え?なに?」

「ありがとう‥って」

改めてお礼を言うなんて妙に照れちゃって、涼喜みたいに顔を覗き込むどころか目を合わせて言えないけれど。
あたしの気持ちが、少しでも伝わるといいな。
そんな気持ちを込めて、今度はあたしから涼喜を抱きしめた。


「…照れてる由衣ちゃん可愛いなぁ♪」


呑気なことを言う涼喜に、あたしの照れは一気に吹っ飛び、少しあきれた。

でも、この呑気さがきっと涼喜のいいところなんだろうな、って思った。



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