YOU&I


ふと見ると、片方の部屋の窓が開いていて、網戸になっている。
外は大雨とは言わずとも、強い雨が降っていて、しかも窓辺にベッドがあった。
このままではベッドが濡れてしまう。
とりあえずあたしは黒で統一された部屋にお邪魔して、ベッドに乗り、窓を閉める。

「(…あれ?)」

ふと目がいったのは、ベッドの枕元の壁に掛けてあったコルクボード。
写真がたくさん貼ってある。
角度や場所はランダムに貼ってあるのに、真ん中だけ丸く写真がなくなっていて、その中央に1枚堂々と貼ってある。

「この子…」

その写真は、涼喜と一緒に笑っている、今朝啓ちゃんの横に立っていた女の子だった。
涼喜は相変わらずの金髪で、咲ちゃんと思われる子も、今朝見たときよりも明るい髪色をしていた。
そして制服は、この家からすぐ近くにあるS中の制服。
この部屋は涼喜の部屋なんだ、と確信を持つ。
あたしはベッドに立ち膝をして、その1枚の写真を眺めた。


「あ、いたー」

不意に聞きなれた声が聞こえ、我に返ったあたしは勝手に部屋に入ってしまったという焦りで、急いでドアの方を見る。
そこには、黒のスウェットで、赤茶の髪をタオルで拭きながら入ってくる涼喜。

「あ、ごめん、勝手に‥」

「いや?俺のダチみんな勝手に入るし」

「…そっか」

そう言いながら涼喜は床に脱ぎ捨てられていた服を拾い上げ、雑誌やんかも雑に片付けた。
あたしはそのままコルクボードを見つめる。


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