YOU&I


放心しているあたしを放ったらかして、涼喜はゲームを始める。
放ったらかし?と言いたいところだけど、言ったところであたし、今は涼喜の顔もまとも見れないと思ったから、なにも言わない事にした。
大人しく涼喜のゲームを見てみるけど、よくわからなかった。

「あ、てかさ!」

いきなり思いついたらしく、涼喜はコントローラーを投げ出した。

「えっ、なに?」

「由衣ちゃん今日ずっと外にいたから体冷えたしょ?」

実を言うと、1度芯まで冷えてしまったあたしの体は、家の中の温度ではとても暖まりきらなかった。

「俺髪染めてる間にお湯溜めといたんだよね。入ってきな?」

「そうなの?」

「俺もさっきシャワー浴びたしさ。タオル出しといたから入っといで」

「‥それじゃお言葉に甘えて!」

涼喜の爆弾発言であたしの鼓動は早くなりっぱなしで、冷静になりたかったのもあってあたしは鈴島家のお風呂を借りる事にした。


時刻は5時過ぎ。
西を向いたお風呂にしては大きなすりガラスの窓は、オレンジに染まっていた。
髪の毛をアップにし、顔は濡れないように暖かいお湯につかる。

頭の中は、ひたすらさっきの涼喜の事が離れない。
涼喜があたしを好き?
考えてみればそれは、自然な流れなのかもしれない。
涼喜は満足だって言ってたけど、きっと返事は気になってると思う。
あたしはなんて返事をすればいい?
あたしは…涼喜のことが、好き?

ふと、昨日、啓ちゃんの家で啓ちゃんに言われたセリフを思い出す。



"由衣が、鈴島に惹かれてんの、俺気付いてたよ"



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