YOU&I



「…とは言ってもさ、大した話じゃないよ」

そう前置きをしたあと、涼喜は順を辿るように一つ一つ話した。
中2に上がったとき同じクラスになった咲さんに惚れ、そして友達伝いに咲さんは金髪が好きだということを知って金髪にしたという事を。

涼喜の金髪は、咲さんに対する愛情表現だったらしい。

咲さんの話は初めて聞いたけど、やっぱり細かい恋愛事情は何一つ話してはくれなかった。


「俺の金髪こそが、今日話した"未練"そのものだったってわけ!」

好きな子に尽くすその姿勢が、少し啓ちゃんと被った。
ちょっぴり切なくなる話だった。

「でもさ、俺も吹っ切れたし。金髪も飽きたからさ~」

「‥涼喜、その色、金髪よりも似合ってるよ」

「ありがと!」

そう言って涼喜は嬉しそうに笑った。
本当に吹っ切れているらしく、その笑顔には微塵も迷いを感じない。

「由衣ちゃんさぁ、素直な方が絶対可愛い!」

そう言って涼喜は自分で納得していた。
自信過剰かもしれないけれど‥1度好きと言われた手前、可愛いなんて言われたらつい、嬉しくなってしまう。

「…ねぇ涼喜」

「んー?あ、俺すっかり忘れてたけどめっちゃ腹減った!」

「確かに‥」

涼喜が強引に話を変えるから、なんとくわかった。
涼喜、誤魔化したって。

話すに話せなくなってしまい、ご飯でも食べに行こうかとはなしてるとき、玄関が開く音がした。



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