YOU&I



教卓に置かれていた座席表を見て、あたしは窓際の後ろから2番目の席に腰を下ろした。
あーちゃんは真ん中の列の一番後ろ。
近い様で遠い。
恭介は廊下側の一番前の角、啓ちゃんは廊下側から2列目の1番前。
席はみんなバラバラみたい。

教室に担任の先生が入ってきて、挨拶を始める。
20代後半くらいのまだ若い女の先生。
厳しそうな雰囲気ではあるけど、それなりに綺麗な人で、少し安心した。

担任の短い挨拶が終わると、あたし達は廊下に並ばされて入学式のため体育館へ向かう。
廊下に出るとみんなお喋りを始めてしまい、なかなか収まらない。

そんなとき、階段の方から一人の男の子が歩いてきた。
遅刻のくせになにも言えなくなるくらい堂々と当たり前のように廊下の真ん中を歩き、4組の前に来ると、札を見て教室に入ろうとした。
そこを当然担任が止める。

「あなたが鈴島くんかしら」

「…え、そうだけど」

担任に止められることくらいは誰にでも想像がつくだろうに、彼は驚いてそう答えた。

「そう、遅刻ね。教室に入らないで早く並んで」

「なんで?並ぶの?」

「そう並ぶの。もうすぐ入学式始まるから」

「わかりましたーっと、あ、そうそう鞄教室に置いてからね」

そういうと彼は教室へ入っていき、担任は小さく溜息をもらした。
マイペースな人だな、とあたしはただそのやり取りをボーッと眺めていた。
金髪で制服を緩く着ていて、顔が小さいのか白いヘッドフォンが大きく見える。


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