YOU&I



「リョウ!?帰って来てるの?」

1階から大きな声が聞こえてくる。
すぐにわかった。
涼喜のお母さんだろう。

「あーうるさいのが帰ってきた」

「あはは」

ゲンナリする涼喜がちょっとおもしろくて、あたしは笑った。

「リョウー?誰か来てるの?」

階段を上ってくる音がする。

「あ、めんどうなことになる」

「え?」

「ねぇリョウ、私ちょっと…」

間も無くして話しながら勢い良くドアを開ける涼喜の母親。
誰か来ていることを予感しているハズなのに容赦のないその行動に、あたしは一瞬ビクついたあと、お邪魔してます、と小さい声で呟いた。
一方母親‥とは言えないほど若くて綺麗な女性は、ドアを開けた恰好のままフリーズした。

「…母ちゃん?どったの?」

あたしを見つめて動かない母親に、恐る恐る声をかける涼喜。

「あ、ヤダ、ごめんなさい!お邪魔しちゃったかしらっ」

いきなり我に返り、アタフタしだす涼喜の母親。
こんな言い方は失礼かもしれないけれど、年のわりにはすごく若若しい人だった。

「いや、別に(笑)でもちょうどいいや。母ちゃん俺ら腹空いてんだけど!」

「あ!そうそう、今日ご飯何がいい?って聞こうと思ってたの!」

「なんでもいーよ」

「じゃあ~、ひき肉あるからハンバーグにするね!すぐ作るから待ってて♪」

涼喜のお母さんは、それはそれは陽気にドアを閉め、階段を降りていく音がした。

「…可愛いお母さんだね(笑)」

息子が帰ってきてたら、晩ご飯のメニューを相談するためにわざわざ部屋までくるなんて。
なんか、可愛らしい人だった。

「‥まぁ、ね」

涼喜は苦笑いでそう答えた。


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