YOU&I



「あ、涼喜トイレ借りていい?」

「あぁ、階段降りてリビングの隣りのドアね」

「はぁ~い」

あたしはおトイレを借りるため、部屋を出て階段を降りようとしたとき。

「「あっ」」

ちょうど上ってくる涼喜のお母さんと階段で鉢合わせになった。

「あ、あのね!えと…もうすぐできるから準備手伝ってって言おうと‥っ」

あたしも緊張したけど、どうやらそれ以上に緊張しているらしい彼女は、焦ったようにそう言った。
そこまで緊張されると、逆にあたしは落ち着く。

「はい!いま行きますね♪」

あたしがそう笑顔で答えると、彼女もニッコリと笑った。


あたしはそのままおトイレを借りた後、夕食の準備をお手伝いした。
勢いとはいえ、初対面で鈴島家の夕食に混ぜてもらうんだから、あたしももう高校生だし、これくらいはしないきゃ。

「…ね、名前なんて言うのかな?」

あたしがお皿を並べていると、そのお皿にサラダを盛る為スタンバイしていた彼女が、遠慮がちに尋ねた。

「あっ、春日由衣です!」

「由衣ちゃんかぁ♪ごめんね、リョウちゃんから聞いた事なくて…」

"リョウちゃん"‥なんか可愛い。
あたしもリョウちゃんって呼ぼうかなぁ。

「いえいえ、なんもですよ」

「私はね、美佳っていうの。好きに呼んでくれていいよっ」

やっぱり可愛い笑顔でそう言う美佳さん。


< 51 / 78 >

この作品をシェア

pagetop