YOU&I
「あ、涼喜トイレ借りていい?」
「あぁ、階段降りてリビングの隣りのドアね」
「はぁ~い」
あたしはおトイレを借りるため、部屋を出て階段を降りようとしたとき。
「「あっ」」
ちょうど上ってくる涼喜のお母さんと階段で鉢合わせになった。
「あ、あのね!えと…もうすぐできるから準備手伝ってって言おうと‥っ」
あたしも緊張したけど、どうやらそれ以上に緊張しているらしい彼女は、焦ったようにそう言った。
そこまで緊張されると、逆にあたしは落ち着く。
「はい!いま行きますね♪」
あたしがそう笑顔で答えると、彼女もニッコリと笑った。
あたしはそのままおトイレを借りた後、夕食の準備をお手伝いした。
勢いとはいえ、初対面で鈴島家の夕食に混ぜてもらうんだから、あたしももう高校生だし、これくらいはしないきゃ。
「…ね、名前なんて言うのかな?」
あたしがお皿を並べていると、そのお皿にサラダを盛る為スタンバイしていた彼女が、遠慮がちに尋ねた。
「あっ、春日由衣です!」
「由衣ちゃんかぁ♪ごめんね、リョウちゃんから聞いた事なくて…」
"リョウちゃん"‥なんか可愛い。
あたしもリョウちゃんって呼ぼうかなぁ。
「いえいえ、なんもですよ」
「私はね、美佳っていうの。好きに呼んでくれていいよっ」
やっぱり可愛い笑顔でそう言う美佳さん。