YOU&I
「リョウちゃんが金髪で表現した愛情は、あなたに対するものなのかしら?それとも、別の子?」
「あたしじゃ、ないです」
「じゃやっぱりあの子かな。最近までよくウチに遊びに来てた…咲ちゃん、だったかな」
「…」
自分の息子のそんな事情を知って、美佳さんはどうしたいんだろう。
あたしは純粋にそう疑問を抱いた。
「リョウちゃんね、その子と長く付き合ってたみたいなんだけど、酷かったんだよ」
「え?」
「生活がね、もう振りまわされ放題って感じで。私も随分大変だった」
「…そう、だったんですか」
「夜中にいきなり叩き起こされたと思えば、車出せってリョウちゃんに言われたり、警察のお世話になったり」
「…」
咲ちゃんは、確かにヤンキーとか不良の方に属するとは思うけど、そこまで暴れ回るような子には見えなかった。
どちらかと言うと、仲間が暴れるのを横で笑って見てるタイプだ。
「でもその愛情の象徴だった金髪が茶色に戻ったって事は‥、由衣ちゃんは、リョウと…?」
「あ!あの、違います!あたし達は付き合ってるとかじゃ…」
「あれ?違ったんだ」
「はい‥」
「まぁ…それはいいんだけど。由衣ちゃんは経験あるかな?‥どこが好きかわからない、いつもストレスばかり感じてる、それに気付いてはいるのに無意識に我慢してその人に合わせようとしちゃう。…そんな恋」
そういうと、美佳さんは少しだけ、辛そうな笑顔を作った。