YOU&I


日差しも随分暖かくなって夏を感じるそんなある日。
お弁当を食べた後、あーちゃんと、そして高校でできた新しい友達のゆきみとひとつの机でお菓子を食べている時。

「ずっと聞こうと思ってたんだけどさぁ、ゆぅはなんで鈴島くんと付き合わないのー?」

"ゆぅ"というのは、高校からの友達みんなに呼ばれているあだ名。
このタイミングを見計らってゆきみが、独特の語尾が伸びた口調であたしに聞く。
やっぱりみんな気になるもんなのかな。
あたしとリョウはしょっちゅう一緒にいるし。
それにこのクラスでリョウを苗字以外で呼ぶ女の子はあたしだけ。

「鈴島くん好きじゃないの?」

苦笑いでそう言い、ポッキーを1本取り出すゆきみ。

「そうじゃないよ。でもさ、付き合ったところで今と大して変わらないと思うし。それなら別にこのままでいいかなって」

「えー!ゆぅは変わらないかもだけどー、鈴島くんは変わると思うよ!?」

「…」

それは、考えた事もなかった。
そうなのだろうか?

「でもさ、由衣」

好きだけど付き合わないあたしの主張に、唯一文句をつけないでいてくれるあーちゃん。
あたしの意見を聞くと、少し眉をひそめて真剣な顔をした。

「鈴島と由衣が普段どんな関係かを私は知らないから今まで何も言わなかったけどさ」

「うん?」


「…二の舞になっても知らないよ?」



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