YOU&I


「おもしろそうな奴」

何時の間にかあたしの横に立っていた恭介も、彼の一部始終を見ていたらしく、彼を見ながらそう一言言った。

「うん、確かに」

「あ、春日あーゆうの好きなん?どうりで啓也とくっつかねぇわけだ」

相槌を打ったあたしに、嫌味たらしくニヤついて言う恭介。
確かに啓也とは逆タイプかも。
啓也は意外と真面目な奴で、まず遅刻したり人に迷惑をかけるような事は絶対しない人。
マイペースなところは似てるかもだけど。
でも金髪の彼は自由奔放なところがありそう。

「うるさいな、恭介」

「啓也の3年間の愛も伝わってねぇな」

「…」

啓也に応えてあげられない事は、あたしが誰よりも悔しく思っている。
恭介もそれくらいはわかってるだろうし、軽い冗談のような気持ちで言っているのもわかってる。
それでもあたしはやっぱりどうしても後ろめたくて。
拳を作って俯いた。

「‥悪い、春日」

「…別に」

ぶっきらぼうに謝る恭介に負けじとぶっきらぼうに返す。
恭介の無神経なところ、あんまり好きじゃない。
啓ちゃんはいつでも優しいのに。


すぐに金髪の彼が教室から出てきて、ようやくあたし達のクラスも体育館へ向けて進んだ。



入学式はこれと言って目新しい事は何もなく、すぐに終わった。
つまらな過ぎてあたしはカクンカクンなってたけど、なんとか耐え抜いた。
教室に戻り、席についてあたしはそっこーで机に顔を伏せて眠りに入った。



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