YOU&I



「だからって無理に付き合えなんて言わないよー?」

「でも由衣が本当に好きなんだったら、とりあえず表面上の名前だけでも彼氏彼女に変わってやんなよ」

「そうそう。好きな相手を安心させてあげる事って、何より優先するべき事だと思うー!」

2人が言う事は、不思議なくらいすんなり納得できた。
ずっと気持ちには応えられないと言い続けたあたしを、いつも優しく守ってくれて、安心させてくれた啓ちゃんがいたからだと思う。
やっぱり啓ちゃんは、すごい人。
そして"人を好きになる"という事は、なんたるかを…あたしに教えてくれた大切な人なのだ、という事を思い知らされた。


「…そう、だよね。ありがと」

「ゆぅ!そうと決まればゆぅの答えはー!?」

「今日の放課後、リョウに話すね」

「うん、偉い、由衣」

そう言ってあーちゃんは綺麗に笑う。
ゆきみはポッキーを食べながら、もう片方の手であたしの頭を撫でてくれた。






「あ、由衣」

SHRのとき、帰り支度をしていると、不意にリョウが話しかけられた。
何かを思い出したらしく、勢い良く体ごとあたしの方を向いて座るリョウ。

「え?なに?」

「お前あの噂聞いた?」

「噂?」

最近はこれといって噂も何も聞いていない。

「そ、柏木と咲の」

ドキッと胸が高鳴った。


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