YOU&I

あたしは放課後、いつものようにリョウの家へ向かった。
でも、心に秘めた気持ちは、いつもとは全く違うからか、自然と見慣れたこの住宅街も違って見えてくる。
これが恋の醍醐味なのかな。
そのときの気持ちひとつで、こんなにも全てが違って見える。
それはきっと、素晴らしい事。

それなのに、あたしの心の中のモヤモヤは晴れない。



「お邪魔しまーす」

玄関の鍵は開いていて、誰か帰っている事に確信を持つ。
それは多分、リョウの弟で2つ下の哲也。

「…どうぞ」

リビングのドアからひょこっと顔を出し、小さな声でそう言う哲也。
スウェット姿でアイスを食べていた。
あたしは哲也がすごくお気に入り。
リョウに顔が似てて、生意気で、からかうと楽しいから。

「哲也♪」

「なんだよ」

哲也はリビングの大きなソファに座って、そう冷たく言う。
あたしは遠慮なく哲也の半分くらいしか食べてないアイスを一口勝手に食べた。

「…何?アイス食いにきたわけ?」

ため息をつきながらそう言って、哲也はテレビの前に座ると、ゲームを取り出した。
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