YOU&I
哲也の手に握られていたのは、シルバーリングだった。
…なにか嫌な、胸騒ぎがする。
「なぁにそれ、哲也」
あたしは平静を装い、呆れたような口調で、立ち膝をやめて床に座る。
哲也は意味深な真剣な顔で、あたしの横に座ると、あたしの手に無理矢理指輪を入れた。
「ちょっと」
「良く見てみな?」
「え、‥」
リングだけのシンプルな指輪を"良く見る"と言えば、やっぱり指輪の内側。
まさかと思いながらゆっくり覗き込む。
R.S
その2文字だけが、彫られていた。
直感ですぐにわかる。
RYOU.SAKI
だと。
「…」
「それね、リョウ兄が前までずっと付けてたやつ」
前まで、ね。
それなら別に何にも問題はないよね。
「それで?何が言いたいの?」
「なんで俺がソレ持ってると思う?」
何時になく真剣な哲也の顔を見て、今まで年下としてバカにしてきたけど、たかが2つしか変わらなくて、哲也も立派な中学2年生何だと思わせられた。