YOU&I
「あたしが知るわけないじゃない」

嫌な胸騒ぎがどんどん大きくなっている気がして、あたしは乱暴に指輪を、目の前にあったテーブルに置く。
ガラス製のテーブルとシルバーリングが当たってガチャン、と嫌な音が鳴る。

「なぁ、もっかい聞くけど、由衣とリョウ兄って‥」

「付き合ってないよ」

心の中で"まだ"と付け足す。

「んじゃどうする?この指輪の事今俺から聞いとく?」

「…」

否定も肯定もできなかった。
それは自分自身、否定したいのか肯定したいのかもわからなかったから。
なんとなくの目星ならもうついている。
それを聞くのが、怖い。
でも聞かなきゃいけない気もするんだ。

「…由衣がいない日にウチにきた女が、忘れてったの」

「…っ」

あたしがいない日に、ここへ女の子がきた。
それが誰なのか分からないほど、あたしはバカじゃない。

「なんかゲームしてったんだけどさ、ゲームすんのに邪魔だからって外して、そのまま」

「…」

すっかり言葉を失った。
外して、っという事は、それまでずっと付けていた、という事。
この指輪を付けている意味は、一つしかない。

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