YOU&I
「うるせぇよ、人んちの前でピーピー騒ぐな!」
『ごめぇん!ちょっと、ほんとになかったの?』
「ねぇっつってんだろ!」
徐々に込み上げる怒りを鎮めるためにあたしは、ただ黙って座っていた。
彼女のあの一言に哲也も焦ったのか、そう怒鳴りつけるとすぐにインターフォンを切り、部屋に戻ってきた。
「‥由衣」
「ん、もういいよ」
「もういいって、何がいいんだよ…」
「もういい!!」
こんなにあたしをかばってくれた哲也にさえイライラしてあたしは、込み上げる全てをぶつけるように叫んだ。
それは哲也に向けられて、というよりは、今この現実に向けて叫んだように。
「なにがいんだってんだよ!由衣、しっかりしろ!」
あたしの態度に哲也もイライラしたように、怒鳴りつけた。
一瞬体をビクつかせた後、あたしは床に丸まった。
止まる事を知らない涙。
込み上げる怒りと悲しみ。
そして渦巻く悔しさと後悔。
あたし、こんなにもリョウの事が好きになっていた―。