YOU&I
「鈴島とどうよ?」
お互いお腹空いていた事もあって軽食を頼むと、ニッと笑って、あたしに尋ねる啓ちゃん。
あたしは啓ちゃんと咲ちゃんの話をした事がないのと比べ、啓ちゃんは話すたびにあたしとリョウの事を聞いてくる。
いつもは"普通だよ"としか答えてなかったあたしだけど。
「…」
なにも言えなかった。
だって、まさになんとも言えない状況だったから。
ここでいつも通り"普通だよ"って笑って言えないあたしは、やっぱり弱い女だと実感させられる。
まだどこかで啓ちゃんに甘えているあたしは、啓ちゃんに話を聞いて欲しいと思っている。
そうじゃなかったら嘘の1つや2つつけたはず。
「なした?なんかあった?」
黙り込むあたしに、予想通り心配そうな顔をする啓ちゃん。
あたしはこれを期待していたはずなのに、いざそうなるとやっぱり申し訳ない気がしてくる。
「ううん、なんでもないよ?普通普通!」
「ほんとに?」
「うん!」
「ならいいけど」
あ。
啓ちゃんに心配さすまいと思って嘘をついたけれど…今のあたしとリョウの関係に、啓ちゃんも関わってくるわけで。
逆に話した方がいいのか、それとも啓ちゃんがまだ何も知らないと言うなら話さない方がいいのか。
理屈的に考えれば話した方がいいのかもしれないけど、感情的に考えれば、それも考え物。