YOU&I


「…やっぱなんかあったしょ」

つい考え込んでしまったあたしは、啓ちゃんのその一言に、我に返る。

「えっ、あーまぁ、あるっちゃあるけど…」

どうしよう。

「由衣わかりやすいなぁ」

そんな事を言っている啓ちゃん。
啓ちゃんは何も知らないかもしれない。
でも知っていたとしても優しい啓ちゃんは、咲ちゃんを信じてるって可能性だってある。


「…あの事?」

あたしが話そうか悩んでいると、いつも通りニコニコしてコーヒーをすすりながら、啓ちゃんは言った。

「え‥」

「咲の事?」

啓ちゃんの口から初めて聞く咲ちゃんの名前。
あたしの可能性の予想は、どうやらあながち外れていないのかもしれない。

「うん、まぁ…」

咲の事、とズバリ言われてしまえば、あたしも認めざるを得ないと思い、正直に白状する。



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