YOU&I
「由~衣!カラオケ行こ!」
放課後にルンルンな顔であたしに話しかけて来たのは、啓ちゃん。
啓ちゃんの後ろには携帯をいじるあーちゃんと、恭介。
「行く!待って、いま準備するから」
そう言ってあたしは今日配られた大量のプリントを全部いっぺんに半分に折り、雑に鞄にしまう。
教科書は重いから全部机に突っ込む。
「由衣ちゃん」
あたしが慌しく片付けていると、横から涼喜に話しかけられた。
「ん?」
一旦手を止め、涼喜の方に向き直る。
涼喜はにこっと笑い、自分の携帯を取り出す。
「交換しよ!」
「あ、そうだね!いいよ」
あたしはブレザーのポケットから携帯を取り出し、涼喜とアドレスを赤外線で交換した。
「…由衣ちゃん、島田恭介とかと仲いいの?って事はM中?」
「うん、そうだよ。恭介の事知ってるんだ?」
「うーん、アイツちょっと有名だよね」
「え?そうなの?なんで?」
確かに恭介はカッコイイし、喧嘩も強い。
でも有名になるほどではないと思う。
しょっちゅう喧嘩をしてるわけでもないし、他校に顔が広いわけでもない。
不思議に思ったあたしは、片付けを中断し、イスに座って涼喜の方を向いて座った。