その瞳で見つめて~恋心~【完】
 


部活終了後、進藤先輩の家に行きたいって無理言って、先輩の家にお邪魔した。


「お邪魔します」

「どうぞ。先に部屋に行ってて。お茶、持ってくから」

「あ、はいっ。わかりました……」

「あ。何、飲む?」

進藤先輩はリビングに向かう途中で、こっちに振り向いた。


そんな、気を遣わなくてもいいのに……。
でも、せっかくしてくれるんだし、お言葉に甘えたほうがいいよね。


「あっ。つっても、紅茶しかねぇや。紅茶でいい?」

「あ、大丈夫です」

「ん、判った」

先輩は何を飲むかどうかを確認して、リビングに向かった。


「隼斗から別れたいって言われたわけ?」

「はい」

進藤先輩が紅茶のペットボトルの中身をコップに注ぎながら、話しかけてくる。


でも事実上、自然消滅みたいなもので、あたしは納得できていない。


「そっか。本気になってくれたって思ってたのに……」

進藤先輩は目を伏せて、肩を落としているようだ。


そうだよね。
先輩、あんなに喜んでたもんね……。


あたしに告白したとはいえど、あたしたちが別れることまでは望んでいなかったはず。

けれども、結果はこうして付き合えたわけで、あのとびきりの笑顔とは裏腹に先輩は何かを隠していたのかもしれない。


「こんなときになんだけど、隼斗とキスとかした?」

「えっ? し、しましたけど……」

キスしたかの話題に触れたとき、動揺したせいで声がブレる。


ホントは知らないんだ。
進藤君の唇の感触さえ……。
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