その瞳で見つめて~恋心~【完】
翌日の土曜、あたしは遊園地に来ていた。

今、進藤先輩と待ち合わせだ。


──久しぶりに来たなぁ、この遊園地。
進藤君と無理やり付き合うことになって、進藤先輩と真実さんとWデートしたんだっけ。


「お待たせ、由奈」

「あ、はいっ」

進藤先輩は黒をメインに見せた服装なのに、靴や上着の下から明るい青色が覗かせているので、どこかさわやかな印象だった。


「素敵な格好ですね」

「サンキュ。由奈も花柄のワンピースが似合ってるよ」

「ありがとうございます」

あたしは照れながら、一礼する。


花が好きだし、このワンピは気に入っているので、似合っていると誉められるとうれしい。


「じゃあ、どこ行きたい?」

「えーと……」

進藤先輩って絶叫系、苦手そう……。


ジェットコースターがもっとも好きなんだけど、進藤先輩はいかにも苦手そうなタイプに見える。


「別に遠慮しなくていいぞ」

あたしが何に乗ろうかと悩んでいると、彼は笑顔で言って気遣ってくれた。


「じゃあ、ジェットコースターで!」

「え。ジェットコースター……?」

さっきまで威勢よく『遠慮しなくていい』と言ってくれた進藤先輩は突如、顔をひきつらせる。


「やっぱり遠慮してくれ……」

そう弱音を吐いたけど、あたしは彼を引っぱった。


先輩が思い出に残したいって、言ったんだ。
今日は楽しもう!
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