その瞳で見つめて~恋心~【完】
「はぁっ……」

長いキスがやっと終着し、大きく息を吹いて進藤君を見る。

すると、彼の顔がぼやけて見えた。


「目がうるうるしてるね? よかった? 俺のキス」

「うん……」

力なく肯定すると、進藤君は優しい手つきで、あたしの顔に触れた。


「やっと、水嶋さんがいる。俺、ずっと待ってたんだからね?」

「うん」

「絶対、ずっと離さないから」

「うん。これからも、よろしくお願いします」

あたしは笑顔で告げると、彼も微笑み返した。


進藤君はこれは夢じゃないと確かめるために、あたしに触れたのかも知れない。


大丈夫だよ、進藤君。
あたしはもう、離れない。
だって進藤君となら、きっと笑顔でいられる。
だから、あたしもずっと笑顔でいたい。


「これからは、いっぱいデートしたり、キスしようね?」

「うん」

「で、いっぱいキスの先のこともしようね?」

「うん。──え?」

え、キスの先って……。


突拍子もなく言われた意味深長な言葉に、額に汗がにじみ出てくるのがわかる。


「知りたくない? キスの先」

進藤君は楽しそうにしながら、意味ありげな笑みを浮かべる。


「……っ!」

言葉が見つからない代わりに、顔から火が出そうなくらいに火照る。


「あ。顔、真っ赤。──俺、ドSだから、いっぱい泣かせちゃうかもね?」

彼は得意の意地悪な笑顔で、そう言った。


そんな意地の悪い進藤君を好きになってしまったことに後悔したが、彼に捕まってしまったら逃げられないだろう。
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