その瞳で見つめて~恋心~【完】
 放課後──。


「水嶋さん、帰ろう?」

「あ、うん」

教室を出ようとすると、進藤君に呼び止められる。


そういえば、あたしは進藤君の彼女だったことを思い出した。

それが今わかると、やっぱり、あたしにはまだ進藤君の彼女としての自覚が足りないみたいだ。


「水嶋さん──手、つながない?」

「え?」

校門を出ると、進藤君は突然な提案をしてきた。


その恥ずかしい提案にあたしは思わず顔が熱くなって、あわてて顔を伏せる。

すると、彼はあたしの顔を覗いて微笑んだ。


「だって俺ら、カップルでしょ?」

そ、そうなんだけど。
そうなんだけど……。


進藤君の言うことはもっともだ。

でももし、ホントに進藤君とカップルだったとしても、あたしには恥ずかしすぎてできない。


「は、恥ずかしいよ……」

「恥ずかしがる必要ないよ。ね?」

「え……っ」

進藤君はそう笑って、あたしの手を無理やり握ったんだ。

急に手が暖かくなったから、驚いてしまう。


「水嶋さんの手、冷たいね? けど、ちっちゃくて、可愛い」

さらには、進藤君は指を絡めてきて、ますます恥ずかしさがこみ上げてくると同時に、進藤君を意識してしまう。
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