その瞳で見つめて~恋心~【完】
進藤君の手も、冷たい。
だけど大きくて、おまけに指は骨張ってるけど、細い……。
 この手で、あたしに触れたんだ……。 


あの保健室でのことがふと頭の中に映し出されて、また頬に熱を感じた。

でも、すぐに我に返って、脳内映像を振り払うように頭を振った。


あたし、何考えてるの?
今日、変だよ……。


「──由奈?」

「へっ!?」

ゆ、由奈!?


進藤君は今まであたしを苗字プラスさん付けして呼んでいたので、突然に名前で呼ばれて驚いた。


「だって、声かけても返事ないから。──案の定、反応してくれたね」

「……っ」

「水嶋さんらしいよね。由奈って。これから、由奈って呼んでいい?」

「えっ!?」

「──ダメ?」

うっ……。
上目遣いで、見ないでほしい。


もちろん、進藤君のほうが背が高いので、あたしは常に見下ろされているようなもの。

でも、その関係が逆転されて、あたしが進藤君を見下ろすような形になると、なんだか照れてしまう。

これをギャップって呼ぶのかな……?


「──冗談だよっ」

進藤君は体勢を戻して、あたしのおでこを小突いて、無邪気に笑った。


へぇ……。
進藤君も、こんなふうに笑うんだ。
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