その瞳で見つめて~恋心~【完】
「ええっ……!? じょ、冗談……だよね?」

「んー……。水嶋さんの返事次第、かな?」

進藤君は口角を上げながら唸って、悩んでいる。

おまけに顔は笑っていて、明らかに彼は楽しんでいることがわかった。


「言う? 言わない? ──どっち?」

そう言って、進藤君の腕があたしの体に巻きついてきたかと思えば、腰に手が置かれる。


え……、進藤君の手があたしの腰に……!


「──柔らかいね……?」

進藤君は耳元に近づいてきて、わざと息を洩らして話す。

恥ずかしくて、心臓が破裂してしまいそう──。


「……っ、い、言うから……っ、だ、だから……っ」

「………………」

「し、進藤君に、……ドキドキしちゃっ、て……」

「──え?」

「え?」

え?
な、何……?


あたしが観念すると、進藤君は掴んでいた手首を離してくれた。

でも、進藤君は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていて、その表情からして、離してくれたと言うよりは“離してしまった”が正しいような気がする。


「それって。うぬぼれて、いいの? 俺のこと、好きになってること」

「え? ……ええっ!?」

な、なんでそうなるの!?


進藤君とあたしの思考回路とでは、全く見解が違うらしく、彼がどうして答えを導いたのかがわからない。
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