その瞳で見つめて~恋心~【完】
そういえば、彼はどうして遊んでいるんだろう。

わずかな時間でも、進藤君といて、優しいことがわかった。

それなのになぜ、彼は女の子をもてあそぶことができるんだろう。


「アイツ、トラウマがあるんだ」

「え?」

「中2、だったか。隼斗が2度目の恋をして、見事に付き合えてさ。──でも、彼女は隼斗の親友とも付き合ってたんだ」

「え、じゃあ……。2股、かけられてたんですか?」

「ああ。結局、彼女は隼斗の親友を選んだんだけどな」

そっか……。
だから女の子とは、遊びだけしか付き合えなくなったんだ。


裏切られるぐらいなら、本気にならなければいい。

進藤君はそんな答えを導いてしまったのかもしれない。


「隼斗は一途に好きだったんだ。だから、裏切られたときはショックだったんだな」

進藤君……。


そんな話を聞いてしまって、罪悪感が芽生える。


あたしのことに本気になってくれているだろう進藤君を、あたしがもし、裏切ってしまったら、また遊んでしまうのかな。


「ごめんな。暗い話で。せっかく、水嶋とゆっくり話せたのに」

「あ。いいえ。大丈夫です」

進藤先輩がばつの悪そうにする表情を見て、急いでフォローする。


相変わらず、優しいなぁ……。
だから、好き。


おまけに弟想いであることもわかって、胸が熱くなった。
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