その瞳で見つめて~恋心~【完】
──『18時になったら、観覧車に集合な』。


テーマパークの入場ゲートを抜けた矢先、進藤先輩がそう指示した。

それまでは各々のカップルで楽しめと言うことみたいで、今は進藤君と2人っきりだ。


「水嶋さん、今日も可愛いね」

「え? あ、ありがとう。──進藤君もカッコいいよ?」

「ありがとう」

進藤君にマップを渡したので、彼はマップを見ながらあたしを誘導しているためにあまり話さない。


それにしても、さっきから何を話せばよいのかと考えているけど、話題が見つからない。

こんなことでは、進藤君はさぞつまらないだろう。


「水嶋さん、俺がつまらないんじゃないかって思ってるでしょ?」

え?
もしかして、顔に出てた!?


図星を突かれた。

“顔に出ていた”という言葉の通り、表情に表れていたのではないかと思い、あわてて顔面を両手で隠した。

すると、進藤君はあたしの手を掴んだと思うと、顔から離される。


「言っとくけど、そんなことこれっぽっちも考えてないよ? 何でだと思う?」

「え……?」

「やっぱり、水嶋さんが好きだからだよ。好きな子となら、一緒にいるだけで楽しいし、うれしいもん」

まぶしい笑顔で、進藤君はそう言った。


あたしも、進藤君と同じだよ。
そばにいてくれるだけで、こんなにうれしいもん……。
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