その瞳で見つめて~恋心~【完】
かなり長いお化け屋敷みたいで、もうどれくらいの時間が経過したかなんてわからない。
それぐらい歩いたんだと思う。
「進藤君、まだ……?」
「もうちょっとかも……」
一体、どれくらいの規模のお化け屋敷なんだろうと嘆(なげ)きたくなった。
「あ。ほら、もうすぐ着くよ」
「ホント……?」
進藤君が出口だと知らせてくれた瞬間、ホッと胸を撫でおろして深い安堵のため息をついた。
今まで緊張していて呼吸を忘れかけていたから、できなかった分を補給するために。
長かった……。
やっと、出られるんだ。
「はい、出口に着いたよ」
確かにまぶしいくらいの光が、目を閉じていても差して入ってくる。
出口と確信したあたしは目を開けた。
「きゃあぁぁあぁっ!」
お、……お化けぇ……!
進藤君の背中から顔を覗かせてみたのだけど、そこに見えたのは、おびただしい数のゾンビが群がっていた。
「よしっ。水嶋さん、ダッシュ!」
「えっ……!?」
気を失いかけたときに手を握られて、進藤君が走り出した。
まさかのスピードにあたしの足ではとうてい追いつけないけど、なんとかすがって出口へ走り抜けた。