その瞳で見つめて~恋心~【完】
少しの間、嗚咽が収まるまで待っていると、ようやく落ち着いてきた。


あたしは冷たいアイスクリームの頂点を舌ですくって、食べた。


「どう? おいしい?」

進藤君はあたしの顔色を窺ってから、隣に座る。


「うん……」

「そっか。よかった。──あ。口の脇に、ついてるよ?」

「え?」

進藤君の顔がぐっと距離を縮めて、あたしの唇の脇についているというアイスを舌ですくい取って食べてしまった。


「えっ!?」

「──ん。おいしいね」

進藤君は微笑みながら、自分の唇をペロッと舐めた。


「……っ!!」

進藤君ってなんで、そんな大胆な行動ができるんだろう?


やっている側は全く恥ずかしく思っていないので、逆にされている側が恥ずかしくなって顔が熱い。


「も、もう……!」

「あはは。痛い、痛い。でも、ほら。元気になったでしょ?」

進藤君の体に向かって、ポカポカと叩く。

けれども、彼は痛がっている素振りを見せているだけで、ケラケラと陽気に笑っている。


げ、元気は出たけど……。


「そんな問題じゃない!」

今、あたしたちって、カップルに見えてるよね?
見えてたら、いいなぁ……。
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