その瞳で見つめて~恋心~【完】
──18時になったので、あたしたちは進藤先輩の指示通りに観覧車の前に集まっていた。


進藤先輩は腕時計を見て18時になったことを確認すると、改まったように一つ咳払いをした。


「で。何で俺が一旦集めたかっつーと、たまには恋人を交換しようってことだ」

「え? 交換?」

彼女というポジションにいるあたしと真実さんの声が重なった。


こ、交換って。
つまり、あたしは進藤先輩とってこと……?


「言っとくけど、これは俺に決定権があるから、反論は受け付けねぇから」

「何を言い出すかと思えば。つまり、拒否権はないってことだね」

進藤君はため息をついて呆れながら、話をまとめてくれた。


「そういうこと。俺と水嶋、隼斗と真実。どっちが先がいい?」

「兄さんたちが先に乗れば? ──いいよね、真実さん」

「うん、オッケー」

「じゃあ、行くか」

進藤先輩はあたしに来るよう促し、観覧車にあたしと進藤先輩は向かい合うように座って乗り込んだ。


あれ?
進藤先輩、無言……。


ゆっくりと上昇するゴンドラという密室の中、入ったきり黙りしている進藤先輩。

どうしたのだろう?


──それにしても、あたしは進藤君と乗りたかった。


進藤先輩はあたしたちの仲を応援してくれていたはずで、彼には真実さんという彼女がいる。

それなのに、先輩はどうして恋人交換なんて思いついたのだろう。


「あ、あの。進藤先輩?」

「ん?」

「な、なんでこんなことを言い出したんですか?」

「………………。何でだと思う?」

「え? ──わ、わからないです」

質問したはずが、返答どころか質問で返されてしまった。

とりあえず答えると、進藤先輩は外を眺めた。
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