恋のはな
着崩したその制服からちらりと見えるのはシンプルなシルバーのネックレス。
(…不良だ。)
目の前の男子生徒に怯えながら、私は2、3歩後退りした。
その様子に気付いたのか、その人は一瞬傷ついたような表情になる。
私はその表情に油断をしてしまった。
瞬時、腕を掴まれてしまった。
「待って……怖がらないで…」
(え…?)
「名前、何ていうの?」
「……朝比奈…憂佳」
「憂佳?」
「…はい」
すると、その人は私に微笑んだ。