恋のはな
「覚えてる…?」
「え…?」
いきなり覚えてる?なんて言われても理解できなかった。
「一哉っていうんだけど……」
“一哉”
その名前を聞いて、これは夢なんじゃないかって思った。
私がまだ5歳の頃に知り合った男の子。
そして初恋の相手……
今までずっと会いたかった人。
「いちやくん…?」
ゆっくりと呼び掛けてみると、“一哉”は私の腕を掴みながら引っ張った。
ふわりと包まれたような感覚を感じた。