刹那音




俺の影の隣に、野々宮さんの小さな影。


ふたり。



野々宮さんは、大人しそうに見えたけど意外とよく話す子だった。

きっと誰にでもこんなふうに、明るく話すんだろう。


野々宮さんといると、不思議と胸が温かくなる。



「そうだ、野々宮さんてさ」

「あっ、あのさ」



俺の声が野々宮さんに遮られた。
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