刹那音
それからどれくらいの時間が経っただろう。
ベッドに死んだように倒れたまま、眠ってしまった俺。
部屋に投げ出されて卒業証書。
みんなが色んな言葉を書いてくれた卒アルが入ったカバン。
受験のあと放置してある教科書の山。
部屋の中に散らかるそれらが、俺をじっと見てるような気がした。
外はもう暗いみたい。
むくりと起きあがってケータイを手に取る。
着信:8件
メール:13通
「……」
おそらく、本当は今日の今頃行われているクラス会のことだろう。
友達が来ない人みんなにメールを送って連絡してくれたのだと思った。
寝ぼけながら着信履歴をみる。
「………あ…」
クラスの人に混じって、ひとつだけ見つけた。
『14:28 山下翠』
「…ばかじゃん。」
パタン。
一回ケータイを閉じた。
でもまたすぐに開いて、翠からの着信履歴を削除してしまった。