刹那音
「何で律はそんな普通なのよ!?」
一番そわそわしてるのは母さんだ。
キッチンと食卓を行ったり来たり。
特に料理を運ぶわけでもないのに、行ったり来たり…。
「だってもう、なるようにしかならないし」
それに受かったって落ちたって、どっちでもいいだろう。
受かれば第一志望にいけるし、落ちたら千尋や夢架と同じ高校に行ける。
もともとプライドとかいうものも全くなかったから、正直本当にどっちでもいいと思っていた。
「まー、受かるんじゃね?母さんの息子だし」
奏くんがカツ丼を食べながらけらけらと笑った。
母さんの子だからというのはちょっと意味が分からない。