刹那音




泣いてるつもりなんて、なかったのに。


自然とあふれた涙。


自分の意志とはもう関係なく、次々と床に零れ落ちていく。


てんてんと、透明な水玉を描いた。




「希衣……どこ?」


あいたい、

会いたい、

逢いたい。



どこ?








ふっ。


突然、世界がまぶしくなって、またあの時みたいに色が消えた。



何もかもなくなった。
















真っ白い場所に、俺はまた一人。














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