刹那音


ゆっくり後ろを振り向いた。


「はぁ…はぁっ。ごめ…寝坊した…」


俺の前まで走ってきた少女は、かなり息を切らせていて、顔を真っ赤に染めていた。


さらさらとした黒い髪。

華奢な細くて小さな体。

真っ白な肌。

大きな瞳。


麻西の制服を着た、少女。     




「……きい?」




「え、何?」


やっと整ってきた呼吸。

彼女は顔をあげて、にこりと笑った。








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