刹那音
希衣はカバンからケータイを取り出して、時間を確認した。
「よかったぁ、これなら入学式間に合いそう」
気づいた。
希衣のケータイにも、俺のと似たようなキーホルダーがついている。
おそらく、ペアキーホルダーなんだと思った。
自分の中に見つけた可能性が、みるみるうちに現実味を帯びていく。
「律、同じクラスだといいねっ!」
より、確信へと近づく。
「ほら、行こ?」
くいっと、俺の制服の袖をひっぱった。
あのときと同じように。
「…希衣」
歩き始めた彼女の腕をぱしっとつかんだ。
つかんで、そのまま自分のもとへ引き寄せた。
「え……な、何…」