刹那音


希衣はカバンからケータイを取り出して、時間を確認した。

「よかったぁ、これなら入学式間に合いそう」


気づいた。


希衣のケータイにも、俺のと似たようなキーホルダーがついている。

おそらく、ペアキーホルダーなんだと思った。


自分の中に見つけた可能性が、みるみるうちに現実味を帯びていく。


「律、同じクラスだといいねっ!」


より、確信へと近づく。




「ほら、行こ?」


くいっと、俺の制服の袖をひっぱった。

あのときと同じように。



「…希衣」


歩き始めた彼女の腕をぱしっとつかんだ。

つかんで、そのまま自分のもとへ引き寄せた。


「え……な、何…」


< 157 / 161 >

この作品をシェア

pagetop