刹那音


そして、小さな彼女を、そっと自分の両腕で包み込んだ。


…ふわりと、石鹸の香りが舞った。






「好きだ」









やっと伝えた、たった3文字の言葉。


「ぇ……なにそれ…」


希衣はちいさくつぶやいて、俺の腕の中で両手で顔を覆ってしまった。


「いきなりなんて、ずるいよ」


また、小さくつぶやいた。

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