刹那音



賞状に視線をおとしたままテントへと歩く。


「あ、律」

いきなり、聞き慣れた声が耳に入って、俺は後ろに振り返った。

「…千尋」

「よっ、おつかれ」


伊崎千尋だった。

ロングタオルを首にかけて、ペットボトルを持った手で俺に手を振っていた。


「自己ベスト??」

「うん」

「そっか、よかったな」


千尋が俺の賞状を見る。
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