刹那音
「律、家に誰かいんの?」
「…いないです」
母さんは中学の頃の同窓会、父さんは単身赴任で九州在住、兄さんは学校で勉強中だ。
「何か食わないとだしな…どーせお前料理無理だろ」
「…何で知って」
「いや、見た目的に」
ゆっきー先輩、意外とひどい。
俺は見た目的に料理が作れないらしい。
「翠!お前確か料理できるよな?」
突然話題をふられてびっくりしているのは、同じ2年の山下翠。
「まぁ一応ー。俺んちの母さん栄養士なんで」
翠はテキトーで軽い感じだけど、根はしっかりした奴だ。
「よし。律に何か食わせとけ」
「え?律んちで?」
「焼肉の分はあとで埋めるから!!」
「りょーかいしましたー」
…ってわけで。
俺と翠は桜屋を出た。