刹那音
翠の自転車の後ろに乗って帰る。
こういうのって…普通恋人同士がするもののような気がするけれど。
もはやそれどころではなかった。
あつくて、だるくて、ふらふらして仕方がない。
「律ちゃん大丈夫かよ~すんげ汗かいてるけど」
「………。」
律ちゃんと呼ばれたことがすごく気になったが、スルーすることにした。
仕方ない。
翠は千尋と同じクラスだから影響を受けたのかもしれない。
…あ、そっか。翠2組か。
希衣と同じなんだな。
あれ、また希衣。
今日で何回目?
「律食いたいものとかあるー?」
翠がちょっと大きな声で聞いてきた。